【中学生・高校生】「税の作文」の書き方教えます ー書き出し、ネタ、例文、税の知識まとめー(2024/3/11更新)

作文・小論文の書き方/税の作文・社会を明るくする運動作文の書き方
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書き出し例文集プレゼント中!

まなびやさんのHPをご覧いただきありがとうございます。
少しでも分かりやすく説明したいと思い、今年は作文の書き出しの例文集を作りました。
「税の作文」「社会を明るくする運動作文」の2種類を用意しました。
夏期講習でも使っているこのプリントを、公式LINEに登録してくださった方限定でプレゼントします!

<strong>塾長</strong>
塾長

はじめまして。
東京都墨田区にある、都立高受験の専門塾「まなびやさん」の塾長です。
5教科を教えていますが、特に国語小論文指導が専門です。

このページは、他の解説サイトとは少し違ったやり方で「税の作文」の書き方を説明しています。
それは…

どうせやるなら受験でも使える作文の書き方をマスターして、
ついでに公民(社会)の知識も覚えて夏休み明けのテストでいい点を取る!

ということを目的としている点です。

宿題をやるついでに、模試やテストの点数も上がった方が嬉しいよね!

1.「税の作文」の例文

このページを読むと、こんな感じの作文が書けるようになります!

前置きは短めにして、まずは例文を紹介します。

太字の部分が作文のポイントだよ!

「使えそうだな」と思ったフレーズは、真似して使ってみてね

【例文】税の作文

タイトル:私と友達をつなげてくれたもの
① 書き出し
 税金は私たちの生活になくてはならないものである、社会の時間にそう学習しました。しかし税金が何に使われていて、自分にどう関係しているのか、私はまったく知りませんでした。そこで私は図書館へ行き、税金の仕組みや使われ方について調べてみることにしました。
② 自分の意見 と ③根拠
 図書館で見つけた本には、私の知らないことがたくさん書いてありました。税金は病院や警察、消防など、私たちの安全・安心のために使われていること。大人になって働くようになったら、思っていたよりもたくさんの税金を納めなければならないこと。もし税金がなければ私たちは病院に行けないかもしれないし、やりたいことも自由にできないかもしれないこと。
 その中でも一番私の印象に残ったのが、「公立の学校は税金によって運営されている」ということでした。税金は決して大人だけに関係するものではなくて、私たち高校生にとっても重要なものなのだ。もし税金がなかったら、私は〇〇高校に通えなかったかもしれないのだから。そんなふうに思いました。
④ 体験談
 私が〇〇高校に入学したのは二年前の春でした。その時の私は人と話すことが苦手で、同じ中学校から進学した同級生もおらず、クラスの中で浮いていました。そんな時、私に声をかけてくれたのが前の席に座っていたX君でした。私は誘われるまま、X君が作った「写真部」という部活に入ることになりました。
 写真部のメンバーになってから、私は活動日の毎週土曜日が楽しみで仕方ありませんでした。通常の活動日は高校のある町を歩き回って被写体を探すのですが、月に一度、部員全員で遠出をする日があります。ある日にはみんなで自転車に乗って河原を走ったり、またある日には電車に乗って隣の県の神社へ行ったり。この部活動をとおして、いつの間にか私には友達ができていました。みんな、かけがえのない友人たちです。
⑤ 意見の繰り返し
 もし日本に税という制度がなかったら、都立高校に通うためには三百六十万円ものお金が必要になります。そうしたら私は、この大切な友人たちと出会えなかったかもしれません。
⑥ これからのこと
 税の作文を書くことをとおして、税金の仕組みは高校生の私にとっても重要なものなのだと知ることができました。しかし同時に、いま日本では税収が足りておらず、このままでは近いうちに税の制度がうまくいかなくなるかもしれないことも知りました。四年後には、私も税金を納める立場になります。その時私に何ができるのか、これからも税について学び続けていきたいです。

どうすればこんな感じの作文が書けるようになるのか、順番に説明していくね!

2.税の作文の書き方

作文を書くために必要な4つのステップ

税の作文には、4つのステップがあります。それは、

ステップ1:作文の構成を知る
・ステップ2:税の知識を知る
・ステップ3:切り口を決める
・ステップ4:体験談を決める この4つです。

次の章ではステップ1:構成の作り方 を説明するよ!

【書き方 ステップ①「作文の構成」 を知る

「型」を使えば、どんな作文でも簡単に書ける!

<strong>塾長</strong>
塾長

スポーツにも芸術にも、必ず基本となる型(フォーム)があります。
野球ならピッチングの基本フォームとか、習字ならとめ・はね・はらいとかですね。実は、作文も同じなんです。

塾で使っている作文の「型」プリント※1を公開するよ。
学校の宿題も入試も、この型にはめればほとんどの作文が書けるようになるよ!

※1 …↓は、都立入試の対策講座(200字作文)で、「読書の大切さ」というテーマを例にして解説したプリントです。
税の作文の「型」プリントは有料の講座で使用しているため、公平性の観点からこのページでは公開ができません。ご了承ください。

※無断転載はご遠慮ください。

この「型」を真似するだけで、ほとんどどんなテーマの作文にも対応できる

まずは型通りに書けるようになることが大事なんだ。
それで「原稿用紙2~3枚ならどんな作文でも楽勝!」くらいになったら、少しずつ自分流にアレンジしていくといいよ!

【書き方 ステップ②「税の知識」をつける

税の「種類」と「使い道」を知ろう!

税金の使い道は、この動画を見ると分かりやすいよ!

※2017~2020年の動画なので、データが少し古いです。
金額などの数字が違うため、最新の数字が知りたい時は検索してみてくださいね。

税の知識1|税金の使い道(動画の解説)

<strong>塾長</strong>
塾長

上の動画では、税金は大きく4つのことに使われると言っていますね。
税の使い道をまとめると、こんな感じになります↓
(「年金」「国債費」など、少しだけ付け足しました)

税の使い道① 公共施設:生活を 豊か/安全/便利 にしてくれる施設

・道路や信号、橋、港 …自由に移動ができる。お店で買い物ができる(物流インフラが整っている)
・公園や(公立の)体育館…遊ぶ場所がある。スポーツができる
・図書館…無料で本を読んだり、静かな場所で勉強したりできる

税の使い道② 公共サービス:生活を 豊か/安全/便利 にしてくれるサービス

・警察、消防、救急…犯罪や火事、急なケガや病気の時、すぐに駆け付けてくれる
・ごみの収集…家や町がごみであふれずに済む
・上下水道…安全な水が飲める、料理が食べられる、お風呂や水洗トイレが使える
・病院…安い料金で治療を受けられる
・介護…お年寄り等が介護をしてもらえる

補足説明|日本は病院の治療費が安い

<strong>塾長</strong>
塾長

日本は、欧米と比べるととても安い料金で病院にかかることができます。
それは、日本に「国民健康保険」という制度があるからなんです。

たとえば風邪で病院に行く場合、治療費は1回6,000円くらいするんだって。

え!本当に!?
私が病院に行く時は、いつも2,000円くらいだったと思うけど…。

それは国民健康保険のおかげなんだ。
この制度のおかげで治療費の7割、つまり4,200円分を国が税金(=いま働いている人から集めたお金)を使ってかわりに払ってくれてるんだ。

税金を納めてくれる人がいるおかげで、私たちは7割引きの料金で治療が受けられてるんだね。

日本では、中学生以下は治療費が無料の自治体もあるんだよ。
ありがたすぎるよね…。

税の使い道③ 教育費:みんなが学校に通える

・校舎の建築費教科書、机や椅子などの設備費

・小学生~高校生が学校に通うために、1人につき約100万円の税金が使われている(※1年あたり)

校舎を建てるためには、1年間で1兆円以上も必要なんだって!(※日本全体で)
「建築費は微減1兆3219億円 高等学校は32%増~文科省 2022年度地方教育費調査」教育家庭新聞ニュース)

小学校に入学してから高校を卒業するまでの9年間で、私のために1,140万円も税金が使われてるんだ。
もし税金の仕組みがなかったら、授業料がすごく高くなっちゃうのかな…?

税の使い道④ 年金:年をとっても安心して生活ができる

65歳以上の高齢者には、国から生活費が支給されるんだ。
この生活費のことを「年金」って言うんだって。

仕事を引退した人は収入がなくなるから、その人たちの生活を支える仕組みなんだよね。

でも、タダでもらえるわけじゃないんだよね?

うん。年金は保険の一種だから、掛け金を払う必要があるんだ。

① 40年間(20歳~60歳まで)、毎月1万7千円を払い続けると、
② 65歳になってから、毎月6万5千円が受け取れる

っていう制度なんだって。

816万円の保険料を納めると、死ぬまでずっと毎月6.5万円がもらえるんだね!
それって得なのかな??

たとえば90歳まで生きるとしたら、6.5万円×300か月分(65歳~90歳の25年分)=1,950万円ももらえるんだ。
10年半で元が取れちゃうから、長生きする人にはすごくお得な仕組みなんだよ。

そんなにもらえるんだね!
でも…日本には65歳以上の人が3,630万人もいるって聞いたよ。
その中のかなりの人が年金を受け取ってるなら、そのために税金をいくら使ってるんだろう…?

<strong>塾長</strong>
塾長

いいところに気づきましたね!
実はいま、日本は税収が足りていないんです。
税金が足りない分は、国が借金をして補っているんですよ。

税の使い道⑤ 国債費:国が、借金を返済するためのお金

<strong>塾長</strong>
塾長

日本ではいま、急速に少子高齢化が進んでいます。

1980年…働いて税金を納める年齢の人が多く、年金をもらう年齢の人が少ない→税金が十分足りていた

出典:統計ダッシュボード(https://dashboard.e-stat.go.jp/

働いて税金を納める人(20~64歳)が減って、逆に年金や医療の必要な人(65歳以上)が増えてるんだね。

そうなんだ。
だから最近、日本は「社会保障関係費」※2が増え続けてるんだって。

※2「社会保障給付費の推移」(税の学習コーナー|国税庁) 2024年3月12日 最終アクセス
https://www.nta.go.jp/taxes/kids/hatten/page04.htm

<strong>塾長</strong>
塾長

医療(病気やケガをした時)
年金(年をとって働けなくなった時)
福祉(障害、DV、差別など、様々な困難な状況になった時)
・介護(自分で身の回りのことができなくなった時)
生活保護(経済的に困難な状況になった時)…
 などの公的サービスに使われるお金を「社会保障関係費」といいます。
 社会保障関係費は、私たちが安心して生活できるために使われているんですね。

平成7(1995)年に社会保障関係費は60兆円ちょっとだったのに、令和7(2025)年には約150兆円になる見込みなんだね。
30年間で90兆円も、必要な税金が増えてるんだ。

そう!
だからいま日本は税金が足りてなくて、毎年借金をして補ってるんだって。
国がする借金の金額のことを、社会の授業では公債金(こうさいきん)って言うんだよ。

※3財政のしくみと役割」(税の学習コーナー|国税庁) 2024年2月3日 最終アクセス
https://www.nta.go.jp/taxes/kids/hatten/page03.htm

※4「日本政府の借金は約1,200兆円。なぜお金を刷って返済にまわさないのでしょうか?」(経経済学部 | 立命館大学) 2024年2月3日 最終アクセス
https://www.ritsumei.ac.jp/ec/why/why02.html/

※3は、「国一般会計歳入額 内訳」の円グラフの、青灰色のところに公債金の金額が書いてあるね。
日本政府が令和5年度にした借金の額(=公債金)約35兆円なんだ。

※4 には、今までの借金の総額は約1,000兆円もあるって書いてある!

ちょっとややこしいんだけど…
この「公債」っていう、国の借金を返すためのお金のことを「国債費(こくさいひ)」って言うんだ。

・公債…国がする借金のこと
・公債金…国がいくら借金をしたのか?を表す金額
・国債費…国がいくら借金を返したのか?を表す金額
ってこと?

そのとおり!
令和5年度の国債費は、約25.2兆円だったんだ。
※3の、下の方の円グラフ、灰色のところに書いてあるよ!

ってことは、日本は令和5年(2023年)に
25兆円を返した(国債費)けど、
35兆円を新たに借りた(公債金)
んだね。
あれ…?せっかく返したのに、借金が増えてない?

そうなんだ。
高齢化で社会保障関係費が増え続けてるのに、少子化で税金を納める人が減って、税収が慢性的に不足しているのが、今の日本の大きな課題なんだ。

そうなんだ…。でもそれって、どうしたらいいのかな?

実はそれを考えることが、「税の作文」を書く目的の一つでもあるんだよ。
高校や大学の入試でも頻出のテーマなんだ!

税の知識2|大人になったらどのくらい税金を納めるの?

<strong>塾長</strong>
塾長

これは動画で説明されていなかったので、私が補足しますね。
細かいことを抜きにすると、大人になって働き始めたら、国や自治体(※5)に収入の3割くらいが税金として徴収されます。(※6

※5 …あなたが住んでいる町のこと。 都道府県や「○○区」や「○○市」、「○○町」のような所。

※6 …累進課税は考慮せず、社会保険料と税金も厳密に区別せず計算しています。
このページの目的は正確な数字を分析することではなくて、税に対する自分なりの意見を考えてもらうことだからです。
所得税+住民税が20%で消費税が10%、社会保険料のいくらかを税金と同義と考えて、ざっくり3割としました。

たとえば僕がお年玉を1万円もらったとしたら、その中の3,000円を税金として国や自治体に支払うんだ。
銀行振込みやコンビニ、今はスマホアプリでも払えるんだよ。

税金を払ったら、自分が実際にもらえるのは7,000円ってことになるね。
お年玉、使ってないのに3,000円も減っちゃうのか…。

<strong>塾長</strong>
塾長

働いてお金を得ている人は、そんなふうに生活しているんですよ。
たとえば年間で500万円の給料をもらっている人は、その3割の150万円くらいを国や自治体に納めています。
でも、みんながたくさんのお金を納めているからこそ、今の手厚い社会制度が維持できているんですね。

一年で100万円以上も税金を納めるなんて、ちょっと想像できないな~。

<strong>塾長</strong>
塾長

大人になってもし自分が税金を払うとしたら、この金額を「高い!」と感じますか?それとも「公共サービスを維持することは大事だから、ちょうどいい」と感じますか?
税率について「あなたが感じたこと」も、そのまま税の作文の材料として使えますよ。

【書き方 ステップ③「切り口」を決める

税金の「何」について書く?

ここまでで、
①作文の構成を身につけて
②税の知識を頭に入れたね!
次は ③作文の「切り口」を決めていくよ。

作文の「切り口」ってなに?

たとえば「あなたの学校について紹介してください」って言われた時、君はどんなふうに紹介する?

うーん、「東京にあります」とか「生徒数が500人くらいいます」とかかな…?
あ、でもクラスの数とか部活とか、そういうのも紹介した方がいいのかな?

そう!
そんなふうに、何かを説明する時にはいろんな視点で説明ができるよね。
それを「切り口」って言うんだ!

・学校のある場所
・生徒数
・どんな先生がいるか
・校舎について
・部活について
 …
どんな切り口で意見を言うのか、それが「自分らしい文章」「オリジナルな書き方」になるんだね!

「切り口」の作り方①

たとえば税の作文の切り口には、こんなパターンがあるよ!

もし〇〇(税金によって支えられている施設やサービス、制度)がなかったら?

学校がなかったら
・病院がなかったら
・老人ホームがなかったら
・警察がなかったら
・図書館や児童館がなかったら
・道路や橋がなかったら
・これらのサービス使うのに何万円もかかったら、
自分や家族の生活はどうなるのか…?みたいな感じだね。

何個も書くよりも、自分が利用したことのあるもの1~2個に絞って、深く掘り下げと、説得力のある作文になるよ。
「もし〇〇がなかったら」の例は↓にまとめたよ!

「切り口」の作り方②|もし税金がなかったら

この動画では、税金は
健康文化的な生活を送るために
・(必要なお金を)全員で負担し合うための仕組み
だって言ってるね(1:45のところ)

それ、社会の授業で習った!
日本国憲法の第25条「すべて国民は、健康文化的最低限度の生活を営む権利を有する」ってやつだよね。
「生存権」って言うらしいよ。

もし税金がなかったら、僕たちの生活から「健康」や「文化」がなくなっちゃうってこと?
それって具体的にどんな生活なのかな…?

もし〇〇がなかったら ①

ごみ処理場が機能しない都市
インド埋め立て地の火災の様子

もしごみ収集や
ごみ処理施設がなかったら…

「インド南部ケララ州コチで、廃棄物の埋め立て地から発生した火災が続いている」

「インドのほとんどの都市では正式なごみ処理の手順がない

「屋外の処分場や道路上でごみが燃やされることもある」

日本で水道が使えなくなった例
地震による断水

もし上下水道が
使えなくなったら…

「市内全域のおよそ1万戸で断水していて(中略)湯船につかるのが難しい状況が続いています」

毎日入っていたお風呂に今は入れない状況なのでつくづく水は大切だなと実感しています」

「1次避難所では数日、歯を磨けないこともありました」

国民健康保険制度のないアメリカ

もし病院の治療費が
全額自己負担だったら…

・アメリカには、「自由診療制度を採用している」「医療費が州や地域ごとに違う」「救急車が有料」など、日本とは異なるさまざまな特徴があります

■ニューヨークの医療費
一般の初診料:約2~5万円
歯の治療:約15万円/1本
救急搬送(救命士乗車):14万円〜15万円

税金の仕組みが十分じゃないと、火事犯罪が増えたり、環境汚染も進んだりしちゃうんだね。

一回の診療で2万円もかかったら、僕病院に行けないよ…。

もし〇〇がなかったら ②

公立図書館の少ない地域の例
インド埋め立て地の火災の様子

もし町に図書館がなかったら…

「(福島)県内59市町村のうち、公立図書館があるのは34。設置率は全国平均(77%)を大幅に下回る58%で、全国の都道府県で44位となった」

「特に高齢化と過疎化が進む会津地方は17市町村のうち、(図書館を)設置しているのは会津若松市や南会津町など五つだけだ(=福島県会津地方の図書館設置率は29%)」

「県立図書館は、新刊から絵本まで約2千冊を積んだ移動図書館を会津地方を中心に巡回させ、利用を呼びかけている」

小学校に通えない子どもの数、約6,700万人
地震による断水

もし学校が足りなかったら…

「世界で小学校に通えない子どものうち、半数以上がサハラ以南のアフリカの子どもたちで、学齢期にある子どもの5人に1人が小学校に通えていません


■アフリカの子どもたちが学校に行けない理由
・子どもの数に対して、学校の数が足りない
・研修を受けた教員が不足していて、授業の質が悪い
・学費や教材費が払えない
・学校にトイレがなく思春期に中退してしまう

僕はいつも、テスト前は図書館で勉強してるんだ。周りの人も勉強してるから集中できるし。
だから図書館がなくなったら困る!

アフリカでは、学校にトイレを作るお金も足りなかったりするんだね。
いくら勉強したくても、それじゃ通えないよね…。

「切り口」の作り方③|「どうしても書けない!」時のコツ

ここまでいろんな例を見てきたけど、何を書けばいいか迷っちゃうな…

「もし〇〇がなかったら」っていっても、なかなか想像できないよね。

<strong>塾長</strong>
塾長

実は、そんな時にうまく書くコツがあります!
主語を「自分」じゃなくて、「自分の大切な人」に変えて考えてみるんです。

自分の大切な人?

<strong>塾長</strong>
塾長

そう。
親友、家族、好きな人とか…そういう人をイメージしてみてください。
税金が足りなくて日本がこんな国になってしまうとしたら、どう感じますか?

学校の数が足りないせいで、あなたの友達の半分が高校に進学できない。
だから一部のアフリカの国のように、10代の時点でその後の人生がすべて決まってしまう

・好きな人が重病で今すぐ治療が必要なのに、何百万円も払わないと治療してもらえない。
なのに、お金持ちは軽症でも治療してもらえる

・家族が犯罪に巻き込まれているのに警察官の数が足りず、わいろも横行していて助けてもらえない

<strong>塾長</strong>
塾長

自分を主語にするよりも、リアルに想像できるかもしれないよ。

確かに、
自分がそういう状況になるよりも、自分の大切な人がそうなるかも?って考えた方が、リアルな感じがするかも…

「切り口」の作り方④|こんな意見は書きづらいので注意!

「税金をもっと増やす」という意見は現実的ではありません。

100万円のうち30万円を納めるのだってかなり大変なのに、これからは50万円を納めてくださいと言われたら暮らしていけなくなってしまいます。

「税金を節約する」のもなかなか難しいです。

もし医療費を減らせば病院に行けなくなる人が増えますし、警察や消防のための税金を減らせば犯罪や火事が増えます。
この意見を言いたい場合は、もう少し税について勉強をする必要があります。

カギになりそうなのは、税金の「使い道のバランス」をどうしたらいいか、という切り口です。

<strong>塾長</strong>
塾長

税金には限りがあります。
その限られた税金を、「何に使って」「何に使わない」のか…それを決めるのが国会です(動画 2:32)
国会では政治家(=国会議員)が会議をして、税金の使い方を多数決で決めています。

その国会議員は、選挙で決まるんですよね。

<strong>塾長</strong>
塾長

そうです。
税金の使い道を直接決めるのは国会議員だけど、どんな人を国会議員にするかは私たちが決める、という仕組みになっているんですね。

僕たちが選挙権を持った時(=18歳になった時)
もし何かを削らなければならなくなった時、最後まで残しておきたい税金の使い道は何か?
どうしてそれが一番大切だと思うのか?
それを守るために、自分は何をする(したい)のか?

そのあたりが具体的に書けたら、すごくいい作文になりそうだね!

<strong>塾長</strong>
塾長

ちなみに、私は小学生や中学生に勉強を教える仕事をしていて、子ども食堂や不登校の人の支援など児童福祉にも関わっています(理由)
このような理由から選挙の時には、限りある税金の中で、できる限り子どもの福祉のために予算を使ってくれる候補者に投票したいと思っています(意見)

こんなふうに「理由と意見」をセットで書くと、いい感じの作文が書けますよ。
参考にしてください!

【書き方 ステップ④「体験談」を決める

体験談は作文を書く「前」に決めておこう!

ここまでで、
①作文の構成を身につけて
②税の知識を頭に入れて、
③作文の「切り口」について知ったね。
最後に④体験談を決めて、作文を書き始めよう!

どうして作文に体験談が必要なの?

それはね、体験談がないと作文に説得力が出ないからなんだ。
たとえば…僕がいきなり「電気って大切だよね」みたいな話をしたら、君はどう思う?

え…、急にどうしたの…?って心配になる。

じゃあ、「実は昨日から、うちの近くの電線が切れて停電してるんだ。エアコンも付けられなくて、昨日は暑くて全然眠れなかった…。ほんとに、電気って大切だよね」みたいな話だったら?

それは本当に心配する!
うちに涼みにきなよ!って言うと思う。

めっちゃ優しいじゃん…。
そう、その感覚だよ!体験談があると、意見に説得力が出るんだ。

なるほど~。だから体験談が作文の中心になるんだね。

体験談の決め方は、↓の章の「順番③」で説明するよ!

3.書き始める前にひと手間かけると、作文を書く時間が半分で済む

いきなり書き始めてはダメ!

<strong>塾長</strong>
塾長

作文をいきなり書き始めるのは、とても効率が悪いです。
計画を立てないで書き始めても、途中で筆が止まってしまうことが多いからです。

ひと手間かけて、以下の順番①~⑥に沿って書くと、作文がスムーズに書けます。
頭の中で考えるだけでも、作文メモを書きながら考えるのでもどちらでも大丈夫なので、自分がやりやすい方で試してみてくださいね。

順番① 作文の「型」を確認する

【作文に必要なステップ その①】「作文の構成」について知る を見直して、作文のイメージをもう一度確認しよう!

順番② 作文の切り口を決める

「切り口」の作り方①を参考に、切り口(=あなたの作文のテーマ)をひと言で表してみよう!
ちなみにこのページの一番上で紹介した例文は、 「もし税金がなかったら、自分は高校に通えなかったかもしれない」という切り口で書かれているよ。

順番③ 体験談を考える

「まずは体験談から考えること」が、税の作文でいちばん重要なポイントだよ!

<strong>塾長</strong>
塾長

このページ冒頭に載せた例文を書く時、私はこんな順番↓で考えながら書きました。

体験談を考える時の、思考の流れ

① 病院、図書館、学校、警察、上下水道…自分に体験談が書けそうなのは「学校」だな。

→② 学校では友達と話すことが楽しいな。
→③ 「もし税の仕組みがなかったら、自分は高校に通えなくて、今の友達と出会えなかった」みたいな意見なら書けそうだな。
→④ この意見につながる体験談、エピソードは書けそうかな?
→⑤ 高校の部活が楽しいから、部活の体験談を書こう!
(※例文は都立高校生の立場で書きました。)

「書き出し」や「意見」から書き始めちゃうと、後から「体験談が思いつかない…」って、悩むことが多いんだよね。

一番最初に「体験談」を決めちゃえば、あとはそれに合わせて「意見」と「根拠」を考えるだけだから書きやすいんだよ!

順番④「意見」と「根拠」を決める

体験談が決まったら、そこから逆算して「自分の意見」「根拠」を決めよう!

たとえば…

◆体験談:高校の部活の、楽しかった思い出
意見:税金は大人だけでなく、私たち学生にとっても重要だ。
根拠:なぜなら私の通っている高校も税金によって運営されているからだ。もし税金がなければ、私は高校に通えなかった。

みたいな感じだよ!

順番⑤「書き出し」を決める

「意見」と「根拠」からさらに逆算して、「書き出し」を決めます。

今回は

<strong>塾長</strong>
塾長

「税金は私たち高校生にとっても重要だ。なぜなら私の通っている高校も税金で運営されているからだ。」
という意見を書きたいな…

と思ったので、

<strong>塾長</strong>
塾長

「図書館で調べた時、高校が税金で運営されていると知った」
みたいな感じのエピソードを書けば、意見とつながる書き出しになりそうだ!

と考えて、書き出しを決めました。

書き出しの例

税金は私たちの生活になくてはならないものである、社会の時間にそう学習しました。しかし税金が何に使われていて、自分にどう関係しているのか、私はまったく知りませんでした。
そこで私は図書館へ行き、税金の仕組みや使われ方について調べてみることにしました。

↑↑↑ここまで考えたら(作文メモができたら)書き始めます↑↑↑
「意見の繰り返し」「これからのこと」は勢いで書けちゃいます。

番外編:題名を決める

全部まとめて「一番伝えたいこと」を題名にします。

<strong>塾長</strong>
塾長

このページの例文では、
税という仕組みがあるおかげで、私は友達と出会えた。
→題名候補は…「私と友達をつなげてくれたもの」 にしてみようかな?
のように、言葉を連想させて考えました。

「税金」という言葉を直接使わずに、自分にとって税金とはどんなものか?を別の言葉に言い換えてみるのがポイントだよ。

無難な感じだと…私と税 / 税金の意外な使い道 / もし学校がなかったら
みたいな題名でもいいかなぁ。

以下、税の作文の例文。原稿用紙3枚分です。

【例文】税の作文

タイトル:私と友達をつなげてくれたもの
① 書き出し
 税金は私たちの生活になくてはならないものである、社会の時間にそう学習しました。しかし税金が何に使われていて、自分にどう関係しているのか、私はまったく知りませんでした。そこで私は図書館へ行き、税金の仕組みや使われ方について調べてみることにしました。
↑まずは税の作文を書いた背景を書きます。他にも、最初に「私の祖父は老人ホームに入居しています」のようなエピソードを書いて、「これがきっかけで税に興味をもちました」とつなげていく書き方も、入選作品によく見られるパターンです

② 自分の意見 と ③根拠
 図書館で見つけた本には、私の知らないことがたくさん書いてありました。税金は病院や警察、消防など、私たちの安全・安心のために使われていること。大人になって働くようになったら、思っていたよりもたくさんの税金を納めなければならないこと。もし税金がなければ私たちは病院に行けないかもしれないし、やりたいことも自由にできないかもしれないこと。
 その中でも一番私の印象に残ったのが、「公立の学校は税金によって運営されている」ということでした。税金は決して大人だけに関係するものではなくて、私たち高校生にとっても重要なものなのだ。もし税金がなかったら、私は〇〇高校に通えなかったかもしれないのだから。そんなふうに思いました。
↑前置きをもう少し詳しく書く→「一番印象に残ったことは」のフレーズで「自分の意見」につなげていきます

④ 体験談
 私が〇〇高校に入学したのは二年前の春でした。その時の私は人と話すことが苦手で、同じ中学校から進学した同級生もおらず、クラスの中で浮いていました。そんな時、私に声をかけてくれたのが前の席に座っていたX君でした。私は誘われるまま、X君が作った「写真部」という部活に入ることになりました。
 写真部のメンバーになってから、私は活動日の毎週土曜日が楽しみで仕方ありませんでした。通常の活動日は高校のある町を歩き回って被写体を探すのですが、月に一度、部員全員で遠出をする日があります。ある日にはみんなで自転車に乗って河原を走ったり、またある日には電車に乗って隣の県の神社へ行ったり。この部活動をとおして、いつの間にか私には友達ができていました。みんな、かけがえのない友人たちです。
↑体験談をできる限り具体的に書きます。面接などで後から質問される作文でなければ、多少脚色してもOK

⑤ 意見の繰り返し
 もし日本に税という制度がなかったら、都立高校に通うためには三百六十万円ものお金が必要になります。そうしたら私は、この大切な友人たちと出会えなかったかもしれません。
↑自分の意見を、体験談を踏まえてもう少し詳しく繰り返します

⑥ これからのこと
 税の作文を書くことをとおして、税金の仕組みは高校生の私にとっても重要なものなのだと知ることができました。しかし同時に、いま日本では税収が足りておらず、このままでは近いうちに税の制度がうまくいかなくなるかもしれないことも知りました。四年後には、私も税金を納める立場になります。その時私に何ができるのか、これからも税について学び続けていきたいです。
↑これからのことについて書いて、締めくくります

<strong>塾長</strong>
塾長

長かったと思いますが、最後まで読んでいただいてありがとうございました!
税の作文で特に重要なコツは、

体験談から逆算して構成を考えること
面倒がらずに作文の型を守ること

この2つです。

字数が足りない時は、体験談をさらに具体的に書くのがポイントだよ!

部活の例で言えば…
・友だちとのエピソード
・顧問の先生はこんな人だ

・こんな道具(カメラとか)を使った
・活動場所(部室やグラウンド)はこんな感じだ

とか、いろいろ書けることがありそうだね。

<strong>塾長</strong>
塾長

「誰が/いつ/どこで/どんな状況で/どうして/何をして/どう感じたか」は、ほぼ無限に書けます。
字数が足りなくて困った時は、この部分を具体的に書いてみてくださいね。

4.おわりに

作文を書くことの最大の目的は、自分の人柄や気持ち・意見を、読んだ人に分かりやすく正確に伝えるということにあります。
だから格好をつけて、無理に奇抜な表現をする必要はありません。

あなたのことをまったく知らない採点官に、自分のことを紹介するつもりで書いてみてください。
きっとうまく書けると思います。

作文は音楽や絵と同じ、自己表現の手段。本当は楽しいものなんです。
今はブログを書いている大人や有名人もとても多いですし、自分で自由に文章を書けるようになると本当に面白いんです。

5.おまけ

「国語の教科書&過去問読書会」を開催中です!

まなびやさんでは、国語の教科書や受験の過去問、塾の教材などを題材にした読書会を定期的に開催しています。
いろいろなことを知りたい、学びたい、いろんな人の考えに触れてみたいと思っているのに、学校にはあまり共感してくれる人がいない。
学校や塾よりももっと深く学んでみたい、勉強の中に「面白さ」を見つけてみたい…。
そんな、学校の外で主体的に学び続ける仲間と出会いたい小学生~大学生に向けた、探究的な読書会です。
今は東京都葛飾区を拠点に、月3回イベントを開催しています。

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