このページでは「枕草子」の現代語訳を解説してるよ!
教科書の現代語訳の意味が分かりづらい時に読んでみてね。
パソコンとか横長の画面で見ると、原文と現代語訳が同時に読めるよ!
枕草子「春はあけぼの」
原文
①春はあけぼの。
②やうやう白くなりゆく山際(やまぎは)、
③すこしあかりて、
④紫だちたる雲の
⑤ほそくたなびきたる。
現代語訳(口語)
①春は明け方(がいいよね)。
②(夜が明けて)だんだん白んでいく、山に近い部分の空が、
③少し明るくなってきて、
④紫がかった雲が、
⑤細くたなびいているのが、(風情があっていいよね)。
解説
①「春はあけぼの」は、清少納言が、四季それぞれの好きな時間帯や素材について書いた章です。
当時の読者はそれを分かって読んでいたので、「がいいよね」の部分は省略されています。
書かなくても伝わるからですね。
②夜が明ける直前の風景。
枕草子「夏は夜」
原文
①夏は夜。
②月のころはさらなり。
③闇(やみ)もなほ、
④蛍(ほたる)の多く飛びちがひたる。
⑤また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行(ゆ)くもをかし。
⑥雨など降るもをかし。
現代語訳(口語)
①夏は夜(がいいよね)。
②月が出る頃は言うまでもなくいい雰囲気だけど、
③(月が出ない夜で)真っ暗な時もやっぱり、
④(そういう暗い夜に)蛍がたくさん飛び交ってる。
(そういう夜って、いい雰囲気だよね)
⑤それに(さっきは蛍がたくさん飛んでるのがいいって言ったけど)、ほんの一、二匹だけが、ほのかに光って飛んでいくのも、趣があって(好きだなぁ。)
⑥(夏の夜に)雨が降ったりするのも、趣があっていいよね。
解説
①書かなくても読者に伝わるので、「がいいよね」が省略されています。
②夏の夜の月…お祭りの後とか、林間学校の夜の雰囲気を思い出してみると、良さがイメージしやすいかも。
③なほ=「やはり」という意味。
月の出てる夜もいいけど、やっぱり月の出てない真っ暗な夜も雰囲気があっていいよね!
みたいな感じです。
⑤蛍がたくさん飛んでるのも綺麗だし、一、二匹しか飛んでないのも、それはそれで静かで趣があるよね!
みたいなイメージです。
⑥清少納言は朝廷勤めだったので、大きなお屋敷の中で過ごしています。
夏の夜、静かな屋敷の中で、屋根にしとしとと雨粒が当たる音を聞きながら、読書をしたりして過ごす…
そんなふうに想像してみると、「趣」がイメージできるかも。
枕草子「秋は夕暮れ」
原文
①秋は夕暮れ。
②夕日のさして
③山の端(は)いと近うなりたるに、
④烏(からす)の寝どころへ行くとて、
⑤三つ四つ、二つ三つなど、
⑥飛びいそぐさへ、あはれなり。
⑦まいて雁(かり)などのつらねたるが、
⑧いと小さく見ゆるはいとをかし。
⑨日入り果てて、
⑩風の音(おと)、虫の音(ね)など、
⑪はた言ふべきにあらず。
現代語訳(口語)
①秋は夕暮れ(がいいよね)。
②夕日が差して、
③(沈んでいく太陽が)山の端にとても近づく(くらいの時間)に、
④カラスが、ねぐらに向かうといって、
⑤三羽、四羽。二羽、三羽など(カラスなので隊列を組まず、それぞれのタイミングで)
⑥(ねぐらに帰るために)急ぐように飛んでいくのも、趣があっていいよねぇ。
⑦まして、雁などが隊列を作って(飛んで)いるのが、
⑧(遠くの空に)とても小さく見えるのは、とても趣深い。
(美しいと思うわ)
⑨日がすっかり沈んで、
⑩(夜に)風の音や虫の声など(がするのも)、
⑪言葉にできないほど。(趣深くて、素敵よね)
解説
②古文の「の」は、現代語では「が」の意味になることが多いです。
③↓こんな感じ。
④⑤⑥↓こんな感じ
⑦⑧↓こんな感じ
⑨古文の「果(は)つ」は、現代語で「終わる」という意味。
なので、
日が入り果てる=日がすっかり沈み終わる
という意味になります。
⑪古文の「べき」は、現代語で「できる」という意味。
なので、
言ふべきにあらず=言えない=言葉にできない
という意味になります。
枕草子「冬はつとめて」
原文
①冬はつとめて。
②雪の降りたるは
③言ふべきにもあらず、
④霜のいと白きも、
⑤また さらでも
⑥いと寒きに、
⑦火などいそぎおこして、
⑧炭もてわたるも、
⑨いとつきづきし。
⑩昼になりて、
⑪ぬるくゆるびもていけば、
⑫火桶(ひをけ)の火も
⑬白き灰がちになりてわろし。
現代語訳(口語)
①冬は早朝(がいいよね)。
②雪が降っている(早朝)は
③言うまでもなく(趣深くていい感じだけど)、
④(寒くて)霜が(おりて)とても白くなっているのも、
⑤また、そうでなくても、
(=霜がおりていなくても)
⑥とても寒い(早朝)に、
⑦(火桶にくべるための炭の)火などを(女性の使用人が)急いでおこして、
⑧(火をおこした炭を)持って(広いお屋敷の廊下を)渡っていくのも
⑨とても(寒い冬の早朝の雰囲気に)似つかわしい。
(だから私はその風景が好き。)
⑩(でも、)昼になって、
⑪(寒さが)だんだんゆるんでいくと、
(=気温が上がってくると)
⑫火桶の火が
⑬白い灰ばかりになって、好ましくない。
(あれ、雰囲気が台無しで嫌いだわ。)
解説
④↓こんな感じ
⑦朝廷には「女房」という女性の使用人がいて、貴族の身の回りの雑用をしていました。
貴族が火をおこしたりはしません
⑧火事になるといけないので、安全な場所で炭に火をつけてから、それを入れ物に入れて、長い廊下を渡って、火桶のある部屋まで運んだんですね。
冬の寒い早朝、女房たちが急いで廊下を歩いていく足音を、貴族の清少納言は部屋の中から聞いていたのかもしれません。
「今朝は寒いから、女房達が大変そうだわぁ」みたいな感じに。
⑪ぬるい=気温が上がって寒さがゆるむこと
(「暑い」までいかない気温)
⑬昼になって気温が上がれば、火桶の炭を交換する(=暖房をつけ続ける)必要がなくなりますよね。
ということは、炭が燃え尽きて、火が消えて、火桶は真っ白になります。
火が消えて、片付けもされていない火桶は、清少納言の美的センスから見ると「イケてない」ものだったんでしょうね。
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