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こんにちは!
今日は先日参加してきた「宮崎県立飯野高等学校(全日制、共学)」のオープンスクールの様子について書きます。
▼こんな人に向けて書きます
・探究的な学びをしたい中学生・高校1年生(とそのご家族)
・地方、自然の多い環境の高校に通ってみたい
・地域と協働して、学びを実践してみたい
・偏差値よりも自分らしさを伸ばしたい
▼こんなことが書いてあります
(この記事のキーワード)
・地域みらい留学
・地方の高校で学ぶ
・探究的な学び方、Project Based Learning(PBL)、アクティブラーニング
・社会課題に取り組む、地域の中で学ぶ、地域活性化、自然の中で学ぶ
・マイプロジェクト
・国立大学への進学も目指せる
▼飯野高校の雰囲気はこんな感じです(写真)
▼この記事を読むために必要な知識
①地域みらい留学
ざっくり説明するとこんな制度です。
・地方の公立高校を、(公立なので学費が安い)
・全国どこからでも受験できる(寮が用意されている、地域の見守りがある)
・探究や芸術活動、自然や地域と関わった学びなど、特色あるカリキュラムが用意されている
という制度です。
詳しくは以下のリンクをご覧ください!
②探究学習(≒探究活動)
生徒が自分で問いを立て、その解決に向けて情報を集め・分析したり、周囲の人と協働したりしながら進めていく学習活動のことです。
我々大人世代の受けてきた教育と比較すると違いが分かりやすいです。
■従来の教育手法
一律に授業を受ける(先に情報をまとめてインプットする。課題は教師が決める)
→その知識を使ってレポート作成や発表、テストなどの活動をする(情報の整理、表現)
実践例:伝統文化について、教師に授業で教えてもらう
→その知識をもとに自分の町の伝統文化について調べ学習をして、レポートを作って提出する
■探究学習
生徒または教師が課題を決め、まず問いを立てる(学びの目的を先に設定する)
→仮説を立て、それを立証するために必要な情報を集める(情報のインプット・整理・分析を目的に合わせて並行して行う)
→仮説を検証し、レポートにまとめてプレゼンする(表現)
実践例:生徒が「自分の町の伝統産業を担っているのは高齢者ばかりだ。後継者不足には少子高齢化が関係しているのではないか?」という問いを立てる
→町の人口構成を調べたり、工房へ行って取材したりする
→得られた情報を分析し、レポートにまとめて発表し、フィードバックを受ける
→受けたフィードバックから新たな「問い」を立てて、探究活動を発展させていく
探究学習は思考力や判断力、表現力などの能力を伸ばし、知的好奇心の範囲を広げていくのに効果的な教育手法です。
③Project Based Learning(PBL、課題解決型学習)
まず取り組む課題を決めて、「この課題を解決するにはどうすれば良いか」と考え、調べていく学習方法です。
探究学習を実践するするための具体的な方法の一つがPBLで、包含関係はこんなイメージです。
学校選びを考える時には、
「生徒が探究してるから探究学習なんだな」
「まず課題の設定から始まっているからPBLなんだな」
くらいのざっくりしたイメージで大丈夫です。
【現地取材してきました】
宮崎県立飯野高等学校オープンスクールの様子
1,飯野高校をひと言で紹介すると
生徒が地域に出て、PBLを行っている高校です。
生徒が地域と関わりながら様々な人と協働し、課題設定・実践・検証を繰り返しています。
・生徒が発案したPBLの例として、「JR吉都(きっと)線活性化プロジェクト」というものがあります。
利用者の減っている地方鉄道を活性化するためにはどうしたらいいか?について、地域の方たちと協働してプロジェクトを行いました。
このように、学校での学びと、地域での実践活動が強く結びついているのが飯野高校の特長です。
地域でアウトプットを行うことにより生徒が学びの成果を実感できるだけでなく、学んだことを身近な人たちに還元できる仕組みが作られています。
(参考)他にも…
・温泉水を使ってウォーターガンを撃ち合う町おこしイベント「えびのSPLASH FES」
・地元の農家さんと協働して「道の駅えびの」への出店
https://www.facebook.com/iinohighschool/posts/pfbid0Cvm5kEmC3XtmzkZYFiBDWGEZXYQpVNZCduGVaHih5d6MeBQucDsPFTg6TEeQqQFWl?ref=embed_post
など、多様な探究活動が行われています。
2,飯野高校のPBLの優れている点(先生への取材から)
東京などの都市部にも、PBLに力を入れている高校はあります。
自然の中で高校生活を送りたいなら、関東近郊にも選択肢はあります。
では飯野高校のPBLは、それらの高校のPBLと比較してどこが優れているのでしょうか?
指導教諭の梅北瑞輝先生※に伺った内容をもとにまとめました。
※飯野高校で探究活動を担当されており、宮崎県からスーパーティーチャーに任命されている先生です。
・地方は少子高齢化が本当に深刻で、社会インフラをはじめあらゆる所で人手が足りていません。
そのため、高校生も地域住民も強い問題意識を感じています。
・人口が少ないので学生の始めた小さな活動でも、地域に与えるインパクトが大きいんです。ちょっとの変化でも、町の人たちにとってはものすごく大きなものに感じられます。
・だから高校生が地域で活動をすると、地域の人も高校生たち自身も、その効果を肌で感じることができるんです。
だから地域も乗ってくるし、生徒の自信にもつながります。
・このように、地方で行う探究活動は生徒が効果を実感したり、地域の人たちとの結びつきを強く感じたりしやすいです。
その点が、都市部と比べた時の地方の学校の長所だと思います。
・そして、えびの市が飯野高校の活動を全面的にバックアップしてくださっており※1、探究をサポートしてくださる地域住民の方たちとの繋がりも幅広い※2です。
これが、飯野高校のPBLの強みです。
※1…生徒の学力向上や奨学金のために2,000万円/年の予算がついているそうです。寮の費用が補助されるほか、給付型の奨学金制度もあります。
※2…「地域サポーター」という制度があり、2022年時点で約30名の地域の方たちが登録しています。
3,飯野高校の生徒さんたちの印象(私が生徒さんたちと話した感想)
■「自分のことば」で語れている。「普通の高校生」が主役になっている。
学校説明会やニュースなどで探究学習が取り上げられる時、「華やかな生徒」が中心にいるイメージがありませんか?
非常に成績優秀だったり、オタク的に深い専門知識を持っていたり、カッコいいパフォーマンスをしていたりです。
しかし、子どもたちの全員がそういった特別な能力を既に身につけているわけではないですよね。ほとんどが、高校生の時点では普通の生徒です。
イベントでは前面に出てこないけれど、その学校の大部分を形づくっている生徒さんたち。
彼らがその学校でどんな表情をしているのか。
これを観察することが、学校説明会で最も大切なことだと私は思います。
この考えをもとにして、私が感じた飯野高校の生徒さんたちの様子をお伝えしたいと思います。
オープンスクールでは、来校した中学生に向けて、いくつかの会場に分かれて複数の企画が開催されていました。
どの企画でも印象的だったのが、在校生の多くが「自分の言葉に自信をもっている」ということでした。
全校生徒230名のうち、約80名。
本当にたくさんの生徒さんたちがこのオープンスクールに参加しています。
人前で意見を言ったり、知らない人に話しかけたりするのが苦手そうな生徒さんもいました。
でも、自分のプロジェクトのことを聞かれたらはっきり答えられる。
大人から借りた言葉ではなくて、自分の言葉で語っている。
先生に指示されるのを待たず、できる役割を見つけて自分からそこに入っていく…
そういう、自信のようなものと、自分で判断して行動したことは咎められないんだという学校や先生に対する安心感のようなものを感じました。
まとめ
-飯野高校はこんな中高生に向いていますー
このように宮崎県立飯野高等学校は、「探究活動と自分の住む町とが密接に関わっていることを感じながら、自分らしく成長して行きたい」という中高生にぴったりの学校だと感じます。
ご興味のある方は、ぜひ一度地域みらい留学の説明会に参加されてみてはいかがでしょうか?
【参考資料】探究活動に力を入れている学校の特徴まとめ
今まで説明会に参加してきた学校の特徴を、イメージワードと一緒に4象限マトリクスにまとめてみました。
学校によって児童生徒の年齢が異なるため単純に比較はできませんが、雰囲気を把握する参考にはなると思います。