国語の教師がヨンデミーを体験してみた④−「考え聞かせ」が読書の効果を100%引き出す−

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塾長
塾長

小論文の専門塾まなびやさんのふるさわです!
前回に続いて、ヨンデミーの体験動画第4弾を公開しました!

今回はヨンデミーの考え聞かせについて解説します!

この記事は「国語の専門家から見るとヨンデミーはこんな仕組みです」という、著者の分析を紹介するものです。
ヨンデミーさんの公式見解ではありませんのでご了承ください。

ヨンデミーのミニレッスン(3日目):本の表紙を見ながらお話しよう!

ヨンデミー3日目のミニレッスンは、「本の表紙を見ながらお話しよう!」という内容でした。

 

具体的には、ヨンデミー先生が子どもにこんなことを話します。

  • 本の表紙にどんな絵が描いてある?
  • そこに描かれているものが、本の中に出てくるかも?

本を読む前に表紙を見て、何が出てくるのか想像すると楽しいよ!と呼びかけていたんですね。

 

実は、これは読書教育の考え聞かせという手法を使っています。

本の表紙を見ながら お話ししよう!

「考え聞かせ」とは? -本の効果を100%引き出す方法-

考え聞かせは、読み聞かせを進化させた読み方です。

 

ただ朗読するだけでなく、大人が感じたことや考えたことを子どもに伝えながら読み聞かせる、というやり方です。

 

たとえば、小さなお子さんがクマの絵本を読んで

モフモフしててかわいい!

と言ったとします。

その時に大人が、

ほんとだ、あったかそうな手だね!

でもちょっとここ見てみて、この爪もすごく大きくない?

みたいな声かけをします。

 

子どもが気づいていない部分に目を向けさせる声かけをする。

これが「考え聞かせ」という教育手法なんですね。

考え聞かせのメリット ーお子さんの読解力が上がる-

考え聞かせの何がいいかというと、本を読むときの視点が増えるところです。

 

本を読む目的は、人によっていろいろですよね。

  • 趣味として楽しむため
  • 語彙力を増やすため
  • 読解力を伸ばすため

そして、読解力を伸ばす目的で本を読む場合には、この「視点を増やす」という考え方がすごく大事なんです。

なぜかというと…

子どもの読書の落とし穴 -たくさん読んでるのに国語が苦手!その原因は「視点」の少なさ-

本を読む子は国語が得意 …そんなイメージはないですか?

でも、本をたくさん(年間100冊以上とか)読むのに国語はあまり得意ではない、というお子さんも実はかなり多いんです。

 

どうしてなのかというと…

ただ本を読むだけだと「視点」が増えにくいからです。

読書の「視点」とは?-読解力を上げるのは他人の意見-

わかりやすいように、わたしが2024年に開催した小中学生向けの読書イベントで実際にあった例を紹介します。

記事の要点を大まかにまとめると…

  • C君(小学生)は、この絵本は江戸時代が舞台だと思って読んでいた
  • 他の子から、「江戸時代に陸軍大将はいない」「登場人物が洋服を着ている」と意見が出た
  • 絵本の舞台が明治時代だと気づいた

こんなやり取りがありました。

これがまさに「本を読むときの視点が増えた」例です。

読書量と読解力が比例しない理由 -「何冊読むか」ではなく「どうやって読むか」-

C君は最初、この絵本の時代設定についてあまり意識していなかったんですね。

なんとなく江戸時代っぽいな~、と思って読んでいたみたいです。

 

でも、他の子の意見を聞いて、

  • 人物の役職
  • 服装

に注目すると、時代設定をもっと細かく読めるんだ!ということに気づきました。
つまり、「視点」が増えたんですね。

 
もしC君に他の人の考えを聞く機会がなくて、ずっと一人で読み続けていたら、この視点を獲得するまでにはかなり(数年とか)の時間がかかったと思います。

 
一人で読むだけでは、読む量は増えても、読み方が変わらないからです。
読み方が変わらないということはつまり、読解力が伸びない、ということです。
読解力はどうやって読むかの話だからですね。

 
それを解決するのが、ヨンデミーのミニレッスンにも取り入れられている、考え聞かせの手法です。

ヨンデミーのミニレッスン-「表紙から中身を想像する」という視点-

ふつう、子どもは本の表紙をじっくり見たりしません。早く中が読みたいですもんね(^^

 
でも、本の制作者はすごく力を入れて表紙を描いています。

表紙が本の中身を暗示していたり、伏線になっていることもあります。

 
表紙と中身を結び付けて読むと、実はすごく面白いんですね。

 
その面白さに気づいてもらうために、ヨンデミー先生は、表紙をじっくり見て、想像を膨らませてから読もう!という「視点」を子どもに伝えているんです。

 
おそらくこの先のミニレッスンでも、ヨンデミー先生は、子どもがまだ持っていない、様々な視点を伝えてくれるんだと思います。

 
このようにヨンデミーは、一人で読んでいるだけではできない「視点を増やすこと」を実現することによって、本を楽しみながら子どもの読解力がしっかり伸びる設計になっています。

 
「たくさん読めば読解力がつく」という、根拠の薄い根性論的な考え方ではなく、きちんとした教育学の理論に基づいて作られている。
これがヨンデミーの信頼できるところです。

ヨンデミー先生の「考え聞かせ」の一例

考え聞かせの注意点 -やり過ぎると読書嫌いの原因になる-

ただし、考え聞かせには注意点があります。
やり過ぎると読書嫌いの原因になる、というところです。

 
この記事を友人に見せた時に、

ファンタジーな世界観の絵本で、クマが本当にモフモフな感じでも、無理やり「本物のクマは爪が鋭いんだよ」 みたいな大人の視点を伝えた方がいいの?

という質問がありました。

 
結論から言うと、ダメです。

逆効果になるので、やってはいけません。

一番大切なのは「楽しく」読むこと-子どもの世界観を邪魔しない-

なぜかというと、読書教育で一番大切なのは、子どもが本を楽しむことだからです。

 
教育的な効果を狙いすぎて子どもの読み方に口を出し過ぎると、読書が楽しくなくなります。
楽しくなければ、「もっと深く読みたい・知りたい」という気持ちも減っていきます。

 
教え込むための声かけではなくて、子どもの好奇心を刺激する声かけが大切なんですね。

 
簡単にできるコツがあるので、紹介します。

考え聞かせの3つのコツ-1.共感 2.本気で 3.一つだけ-

考え聞かせには3つのコツあります。

コツ1: 基本は「共感」(子どもの言葉を否定しない)

3つの中で、これがズバ抜けて大事です。
もし共感するのが難しくても、

確かにそうかも!

そういうふうに感じたんだね~!

と、まずはお子さんの感想を受け止めてあげましょう。

コツ2: 本気で思ったことを伝える

2つ目のコツは、自分が本気で思ったことを伝えることです。

 
「これを教えてあげよう」みたいな気持ちで声をかけてしまうと、勉強っぽい雰囲気が子どもに伝わっちゃうんですよね。

 
自分が面白いと思ったところを素(す)のテンションで伝えることで、声かけがお子さんの心にスッと入っていきやすくなります。

コツ3:一つだけ伝える

3つ目のコツは、一度に一つだけ伝えるということです。

 
1つのシーンで2個も3個も意見を言ってしまうと、子どもはペースを乱されて混乱してしまいます。

 
先ほどのクマの絵本の例で言うと、 子どもはクマのモフモフした質感を楽しんでいるのに、「爪が黒い・鋭い、力が強い」みたいな情報を次々に伝えてしまうと、子どもは本に集中できなくなります。

 
なので、考え聞かせをする時は、大人視点からの声かけは1つのシーンにつき1個以下にするのがコツです。

 

30ページ程度の絵本の場合、 多くても全体で3個以下ぐらいにしておくと、 子供の世界観を邪魔せずに視点を増やしていことができます。

▼解説動画(フルバージョン)はこちら!!

ということで、解説動画を撮りました!
このページで説明しきれていないことも解説しました。

ヨンデミーのことをもっと深く知りたい方、お子さんの国語力を伸ばしたい方は、ぜひご覧いただけると嬉しいです!


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▼動画120秒バージョン(お急ぎの方はこちらだけでも!)

クレジット:VOICEVOX: 四国めたん VOICEVOX: ずんだもん Otologic (https://otologic.jp) CC BY 4.0
ステッカー風ハト (たんよ様) スライム・青 (犬しゃけ様)

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この記事を書いた人

  • 学習塾まなびやさん塾長:古澤 伸泰(ふるさわ のぶやす)
     
  • お茶の水女子大学附属中学校 非常勤講師
    (帰国生クラス・国語)
     
  • 国語が専門
    (特に作文・小論文、読書教育)
     
  • 塾講師歴20年
     
  • 5教科コースの第一志望合格率93%
     
  • 小論文コースの第一志望合格率100%
     
  • 一橋大学法学部卒
     
  • 夏休みの作文解説ブログは月25万PV
    毎年10万人以上の小中高校生に作文の書き方を届けています

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