国語の塾講師がヨンデミーを体験してみた⑤-本との出会いを増やす「最後まで読まない権利」

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塾長
塾長

小論文の専門塾まなびやさんのふるさわです!
前回に続いて、ヨンデミーの体験動画第5弾を公開しました!

今回はヨンデミーのミニレッスンに出てくる読者の権利について解説します!

この記事は「国語の専門家から見るとヨンデミーはこんな仕組みです」という、著者の分析を紹介するものです。
ヨンデミーさんの公式見解ではありませんのでご了承ください。

ヨンデミーのミニレッスン(4日目):本を最後まで読まない権利

ヨンデミー4日目のミニレッスンは、読者の権利についてでした。
具体的には、ヨンデミー先生が子どもにこんなことを話します。

  • 「読者のけんり」とは、本を読むときに君がしてもいいこと
  • 今読んでいる本を途中でやめて、違う本を読んでもいい
  • これを読み終えないけんりという
  • 本は自分の好きなように読んでいい!

実はこれも、実際に読書教育で使われている手法です。

「読者の権利」とは?

読者の権利は、フランスの児童文学作家 ダニエル・ペナックが提唱したもので、全部で10個あります。

  1. 読まない権利
  2. 飛ばし読みする権利
  3. 最後まで読まない権利
  4. 読み返す権利
  5. 手当たり次第に何でも読む権利
  6. ボヴァリズム ※の権利 (※物語の影響を受けて、現実よりもドラマチックな人生を夢想してしまうこと)
  7. どこでも読んでいい権利
  8. あちこち拾い読みする権利
  9. 声に出して読む権利
  10. 黙っている権利

    出典:ペナック先生の愉快な読書法 第2版: 読者の権利10ヵ条

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これらは、私が以前見学に行った軽井沢風越学園でも実践されていました。


たとえば、「7.どこでも読んでいい権利」として、小学生が日当たりのいいソファに寝転がって本を読んでいたりしました。

 
子どもが本を自由に楽しむために、「読者の権利」はとても大切なものなんですね。

 
この中でも特に重要なのが、今回紹介する最後まで読まない権利です。

「一度始めたらやり通せ」が逆効果になる

日本では、一度始めたら最後までやり通すべきという考えが強いです。

 
でも、子どもの読書については、これが逆効果になることが多いです。

 
子どもは、自分に合う本を選ぶのがまだ難しいです。

 
そのため、図書館で本を借りても、読んでみたら面白くなかった…ということもたくさんあります。

 
そんなときに大人が、

  • まだ読み終わってないの?
  • せっかく借りてきたんだから最後まで読みなさい!

みたいに最後まで読むことを強制すると、子どもは本が嫌いになってしまいます。

 
で、どうして大人がこういうことを言ってしまうのかというと…「途中でやめるのはよくないことだ」という先入観があるからです。

面白い本と出会うこと>>>本を最後まで読むこと

この連載で何度も書いていますが、一番大切なのは「お子さんが本を楽しむこと」です。

 
本を楽しいと感じるから読書の意欲が湧いて、興味の幅が広がって、語彙力や読解力が伸びていきます。

 
そして、本を楽しむためには、お子さんにとって面白い本と出会うことが必要です。

 
つまり、お子さんに合わない本には早めに見切りをつけて、もっと面白い本を探すのに時間をかける方が合理的なんですね。

面白い本との出会いを増やす声かけ

でも、お子さんの心の中には「途中でやめるのはよくないことだ」という強い先入観があります。

 
だからこそ、「読むのを途中でやめてもいいんだよ」と伝えてあげる必要があるんですね。

 
たとえば、

  • その本あんまり面白くなかった?別のを借りに行こうか!
  • 途中でやめても全然いいんだよ!
  • 次はきっと、もっと面白い本が見つかるよ!

のようなポジティブな声かけがあると、お子さんも読むのをやめやすくなります。

 
大切なのは、合わない本を無理に読むことではなく、好きな本を楽しく読むこと。

 
そういうメッセージを伝えていけるといいですね。

ミニレッスンは保護者も受けるのがおすすめ!

こんなふうに、ヨンデミーのミニレッスンでは、

  • お子さんが本の面白さに気づきやすくなる
  • お子さんを本嫌いにさせない

ためのテクニックをたくさん紹介しています。

 

レッスンは1回3分程度なので、保護者の方も一緒に受けると、お子さんに読書習慣が身につく確率がグッと上がると思います。

お子さんが途中で本を読むのをやめたとき -ポジティブに考えてOK!-

とはいえ、お子さんが途中で本を読むのをやめた場合、不安に感じる方もいらっしゃると思います。

 
でも、安心してください。

その理由を、読書のモチベーション・最後までやり遂げる力・読書の効率 の3つに分けて説明します。

  1. 読書のモチベーションへの影響
    合わない本を無理に読ませたとしても、お子さんにとってマイナスにしかなりません。
     
    本はつまらないものだという思いが強まって読書や国語へのモチベーションを下げるくらいなら、読書以外のことをした方が良いです。
    (読書へのモチベーションを±0で維持すれば、興味が高まったタイミングで再開するチャンスを残せます)
     
  2. 最後までやり遂げる力への影響
    面白い本と出会えれば、お子さんは勝手に最後まで読みます。
     
    「最後まで読めた!」という成功体験を積ませたいなら、手元にある本にこだわるよりも、好きな本と出会わせる努力をした方が簡単です。
     
  3. 読書の効率について
    時間は有限です。
    つまらない本を読み終えるのに3時間かけるよりも、30分で見切りをつけて、浮いた2時間半でもっと面白そうな本を探した方が効率が良いです。

こんなふうに…本を途中で読むのをやめることは、教育の視点では全然ネガティブなことではないんです。
 
お子さんにとってより面白い本を探したり、読んだりするチャンスが増えたと、ポジティブに考えるといいと思います!
 
保護者の理解があることで、お子さんも本をより気軽に、自由に楽しめるようになります。

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クレジット:VOICEVOX: 四国めたん VOICEVOX: ずんだもん Otologic (https://otologic.jp) CC BY 4.0
ステッカー風ハト (たんよ様) スライム・青 (犬しゃけ様)

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この記事を書いた人

  • 学習塾まなびやさん塾長:古澤 伸泰(ふるさわ のぶやす)
     
  • お茶の水女子大学附属中学校 非常勤講師
    (帰国生クラス・国語)
     
  • 国語が専門
    (特に作文・小論文、読書教育)
     
  • 塾講師歴20年
     
  • 5教科コースの第一志望合格率93%
     
  • 小論文コースの第一志望合格率100%
     
  • 一橋大学法学部卒
     
  • 夏休みの作文解説ブログは月25万PV
    毎年10万人以上の小中高校生に作文の書き方を届けています